ぼくらがめぐりあう なにもかも
すべては過ぎゆく 流れゆく。
人生はしょせん かりそめの一瞬か。
しかしそれでも花はその一瞬のために必死で咲く。
まして、一篇の詩、一枚の絵はもしかしたら、
あるひとの心に永遠に生きることがある。
ぼくらはだからそれを求める。
ところであなたは・・・。
やなせたかし「詩とメルヘン」より
この詩は、サンリオ出版から出されていた「詩とメルヘン」という月刊誌の巻頭言である。「やなせたかし」先生といえば、この「詩とメルヘン」にメルヘンとして発表した「あんぱんまん」で有名である。後にテレビ漫画として人気を博し、子供たちに絶大な支持を得たことは、誰でも知っている。私は妹とともに中学から高校・大学時代までこの「詩とメルヘン」を愛読した。
そして、先生と知己を得たのはまだ20代のこと、先生はよく歌を歌われた。あまりお上手とは言えないと言えばおこられるかもしれないが、河浜が歌をやっていることをお話しすると、ますます大声で歌われた。ご長寿であったとはいえ、2年前にお亡くなりになった時には、落涙を禁じ得なかった・・・。間もなくご命日(10月13日)である。合掌。
さて、先生はこの詩で、詩というものが「あるひとの心に永遠に生きることがある」と書いている。では我々の携わる教育というものはどうであろうかと考えさせられる。教育こそが子供たちの心の中にずっと影響を与えつづけ、教育にふれることによって、少し人生を変えることができれば幸せだなと思う。
何年か前、私どもの第3期卒業生から真夜中に電話があった。3期卒業生といえばもう40歳を超える。もうお母さんで、その娘さんもすでに当塾を卒業している。話は彼女のお父さんが亡くなったということだった。そんな人生の節目に、話したくなったと電話してきたのだ。
また別の日には、結婚が決まった卒業生が、結婚式に出席して、挨拶をしてほしいと連絡してきた。あまり努力家とは言えなかった彼が、人が変わったように努力を重ね、公務員として社会のお役にたっているのは、学習共同体での生活があったからだと言ってくれた。
上の詩の最後の一文「ところであなたは」に、こたえるならば・・・、ぼくらは教室の中で子供たちを揺さぶる一陣の風でありたい。そして、その風が、子供たちの一生を少し変える力になってほしい。 会長 河浜一也